【留学体験記】僕を変えたタイ、バンジャムルン 第1章タイで過ごした1ヶ月

公開日 2012年9月3日

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僕がホームステイしていたジャムルン村には、
 蒸し暑さと、少しばかりの果樹園と、ただただ広がるゴム農園しかない。
 
 そんな所に毎日、何百人もの観光客がやってくる。
 
 僕は1カ月間、その理由を一生懸命探していた。
 一緒に働き、疑問に思うことがあれば尋ねる。
 できることは何でもやり、
 できる限りのヒト?モノ?コトに触れようとした。
 
 そうして村を知り、村を知ることは自分を知ることになった。
 これまで頭の中でバラバラになっていたものが1つになるように―

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 僕は大学生活にモヤモヤ感を抱いていた。
 入学当初から何でも積極的に挑戦をしてきた。
 地域の188bet体育_188bet赌场-【平台官网】や自ら企画した活動や「いなかインターンシップ」など、
 どれも高校生活までにない新鮮で貴重な経験だった。
 
 しかし、毎回大きな目標を立て、できないと思えば投げ出していた。
 その目標や経験が何に活かされるか考えもせず、
 根拠のない自信だけを持ち自分の足下が見えていなかった。

 このプログラムへの参加が決まったのは今年の1月上旬。
 巷では4年生が自己分析や合同説明会に参加し始める頃。
 就職活動への不安を抱えながらも僕はタイに行くことを決めた。
 自分の選択に危機感を感じたのは初めてだった。
 
 出発する2月10日までの準備期間は、自問自答を必死に繰り返した。
 過去を振り返り、現状を整理し、将来の自分をイメージした。
 てんでに散らばっていた自分の学生生活を初めて線で結んだ。
 
 今回ほど集中し、深く、明確に考えたことはなかった。
 実際、タイに渡り、多くのことを学んでいく間に目標自体は
 めまぐるしく変わっていったが、リアルにイメージされた
 「1カ月後にありたい自分の姿」はぶれず、
 滞在中の行動の大きな原動力になった。

 ジャムルン村での生活は今までにない充実感があった。
 
 異文化に触れることだけでなく、
 行動し、疑問を持ち、話を聴き、考えて理解するという充実感だ。
 疑問を解決していくことは、
 頭の中に広がったジグソーパズルをつなげていくようで楽しかった。
 
 パズルはジャムルン村だけに留まらなかった。
 引っ込み思案の5歳の女の子から人間関係について気づかされ、
 過去の自分の経験を思い出し、
 先生方の言葉の意味を想像したこともあった。
 
 言葉が理解できない分、感覚が研ぎ澄まされたようで、
 目に見える全てへ疑問を抱き、
 気づいたことをメモ帳や日記に毎日書き留めた。
 
 そうして、頭の中のジグソーパズルはノートの上で
 何十枚にも及ぶマインドマップに変わっていった。

 タイ語は全く話せない。英語も真面目に勉強した記憶は1度もない。
 言葉が通じないことの辛さともどかしさは毎日感じていたが、
 とにかくアクションを起こそうとする気持ちだけは無くならかった。

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 3月10日に帰国し、真っ先に向かったのは大学だった。
 話を聴いて欲しくて、お世話になってきた先生方の研究室を回った。
 たった1カ月で自分が大きく成長したと錯覚するような、
 濃密な1カ月間だったと今でも思う。
 
 就職活動の不安なんてほとんど消えていた。
 なぜならこの1カ月間、ジャムルン村を知ることは、
 常に自分を知ることにつながっていたから。

 帰国後に初めて食べた日本食はめちゃくちゃ美味かった。
 全てが当たり前でないように思えた。
 そう思えたのは、当たり前じゃない世界で
 “なぜ”を考えてきた自分の変化だった。
 
 タイの小さな農村で数々の人との出会いと、
 滞在中に書いた3万字の日記や走り書きのメモが与えてくれた
 大きな経験―それが僕の1カ月だった。

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 (第2章へ続く)?

                            人文学部4年 有田悠樹

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