教室紹介

  • ご挨拶
  • 麻酔科学?集中治療医学講座 教授 河野 崇
  • 集中治療部 部長 廣田 誠二
  • 緩和ケアセンター センター長 北岡 智子
  • 産科麻酔科学講座 特任教授 淀川 祐紀

ご挨拶

廣田 誠二

地域を支え、未来を拓く:
高知から始まる新しい集中治療のかたち

188bet体育_188bet赌场-【平台官网】医学部附属病院 集中治療部
部長 廣田 誠二

当集中治療部は12床を備え、院内の重症患者さんに迅速に介入できる体制を整えております。Mandatory Critical Care Consultation を基盤とし、多職種が常に情報を共有しながら、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供できるよう努めています。医師?看護師?薬剤師?臨床工学技士?リハビリスタッフに加え、緩和ケア医や歯科医師など多様な専門家が連携し、それぞれの知恵と経験を持ち寄って日々診療にあたっています。

高知県は全国の中でも高齢化が進んだ地域で、慢性疾患を複数抱える高齢の患者さんが山間部や沿岸部から搬送されることも珍しくありません。地域特有の生活環境や交通事情により、重症化してから大学病院に到達するケースも多く、私たちの診療には常に「地域の現実」への理解と対応力が求められています。

そのような背景のなか、当部では救命治療にとどまらず、ICUで起こりうる合併症の予防や生活の質を意識したケアを大切にしています。せん妄対策、専門的な口腔ケア、入室当日からの早期リハビリテーション、家族支援など、退院後の生活を見据えたアプローチを多職種と協力しながら進めています。「ICUで命をつなぎ、未来の生活を取り戻す」―これが私たちの基本姿勢です。

また、高知という地方だからこそ生まれる取り組みもあります。県内医療機関との重症患者支援、遠隔地との連携、災害時の即応性向上など、地域に求められる役割は都市部とは大きく異なります。こうしたニーズに応えるため、AIを活用した病態予測、Tele-ICU(遠隔ICU)の検討、バイオセンサーによる早期異常検知、多診療科横断型のプロトコル整備など、新たな挑戦にも取り組んでおります。制約の多い地域だからこそ、創意工夫が未来の集中治療を拓く力になると感じています。

さらに、若手医師の育成は当部にとって重要な使命です。重症医療に必要な知識や技術、判断力に加え、チームとしての姿勢や患者さんと向き合う倫理観を丁寧に伝えていくことで、次世代の集中治療を担う人材の育成に力を注いでいます。

私たちが目指すのは、患者さんとご家族が安心して治療に臨め、スタッフが誇りをもって働けるICUです。地域の現実をしっかり受け止め、その力を生かしながら、高知から新しい価値を生み出す「地域発の集中治療モデル」を築いていきたいと考えております。

これからも、皆さまの信頼に応えられる集中治療部であり続けられるよう、挑戦を重ねてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。